神経根ブロック (ルートブロック)
2010/03/04
神経根ブロック(ルートブロックともいいます)は頚部、胸部、腰部いずれでも行われますが、最も多く、かつ一般的に行われているのは腰部神経根ブロックです。
腰部神経根ブロックは、腰椎の脊柱管外に出て下肢へ向う神経根(これらが、束になって大腿神経、坐骨神経になります)に、レントゲン透視下で、局所麻酔薬とステロイドを混合した液を注入することにより、その神経根の炎症を抑えて、痛みを取る方法で、うまくいくと、1回で劇的に下肢の神経痛がとれる可能性があるペインクリニックにとって非常に有用なブロックです。
適応は、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎スベリ症(痛みの相談と治療で既述)などでおこる神経根痛(坐骨神経痛や大腿神経痛です)で、有効性は椎間板ヘルニアで60%、脊柱管狭窄症で40%ほどと言われています。
また、有効性は落ちますが、腰椎疾患以外にも腰神経に生じた帯状疱疹後神経痛や複合性局所疼痛症候群も適応になります。(いずれもトピックスで既述)
腰部神経根ブロックは神経根を覆う神経鞘内にブロック針を入れ、神経根に直接針を刺す侵襲的なブロックです。そのため、トリガーポイント注射(トピックス既述)、硬膜外ブロック(硬膜外ブロックについてで既述)などをまず行い、除痛効果がない場合に行うのが一般的なやり方です。神経根ブロックは硬膜外ブロックのように何回やっても全く問題ないブロックと違い、神経に針を穿刺するため、頻回に行うと神経損傷をおこす可能性があります。それを避けるためには、一般的には同一神経根へのブロックは2~3回程度にとどめておくこと。また神経根ブロックが手技的に難しい症例において放散痛を得るために神経根にブロック針をしつこく刺し続けるのもよくありません。
神経根ブロックで大切なことは、ブロックする神経根が痛みの原因の神経であることです。異なった神経根をブロックしても効果は得られません。そのためには神経学的検査、MRI検査などで詳細に検討してから痛みの原因の神経を決定する。またブロック中には神経根をブロック針で穿刺した場合の放散痛が元来の痛みと同一部位の痛みであることを確認することが重要です。
ただし、神経根ブロックの除痛効果が1~2週間で消失したり、同ブロックを複数回行っても無効の場合も結構あることもご承知下さい。決して万能のブロックではありません。
また、高周波熱凝固法といって、神経根に電極針をあてて、100度以下の低温の熱で数十秒~3分くらいそのまま放置して神経根の蛋白質を凝固させて痛みをとる方法も最近行われるようになっています。
また、頚椎症性神経根症(痛みの相談と治療に既述)に行われる頚部神経根ブロックや胸椎椎間板ヘルニアの痛みに行われる胸部神経根ブロックは一般に行われる頻度も少なく、合併症も腰部に比べて増加しますので、これらの手技に精通した医師に行ってもらうことが大切です。
ただし、2010年11月よりこれらの神経根痛に対して全く新しい神経痛治療薬リリカ(プレガバリン、トピックスに詳述)が出ました。これは有効率60~70%程度と報告されており画期的効果を発揮します。そうすると侵襲的ブロックである神経根ブロックをあえて行うことに対する見直しが行われることは確実です(神経根ブロックを行わずにリリカ内服で様子をみる症例も増加してくるとおもいます)。
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