【大分市・複合性局所疼痛症候群(CRPS)】大分・神経の傷による難治性神経痛
2010/04/01
複合性局所疼痛症候群(CRPS)は通常の神経痛、たとえば坐骨神経痛や三叉神経痛などとは別の種類の神経痛で、末梢神経の傷や炎症によって、損傷された神経から激しい痛みが長期にわたり生じるものです。CRPS(複合性局所疼痛症候群、Comprex Regional Pain Syndrome)と呼ばれます。
CRPSは次の二つのタイプに分類されています。ひとつは神経を損傷したとは考えられないつまり原因がわからずにある部位に激しい神経痛が生じて痛みが続く場合、これをタイプⅠ(骨折、ギブス固定、手術の後などに起こることが多いので、実際には何らかのかたちでその部位の神経に損傷を及ぼしていると考えられますが、全く原因になるようなことがなくても生じる場合も多い)とされ、一方、医療ミスで採血時や手術時に明らかに神経を傷つけたり、また帯状疱疹のウィルスにより神経に傷がついた場合(帯状疱疹後神経痛、トピックスに詳述)、手足の切断による幻肢痛、など神経に明らかに神経損傷した場合をタイプⅡに分類されています。タイプⅡで特に多いのが採血時針を深く刺しすぎて肘の部分の正中神経を損傷することです(採血6000回に1回の頻度で起こるとされています)。また近年ワクチン接種の際その部位が予想以上に腫れてすぐ近くの神経を圧迫することにより起こることがかなり報告されています(社会問題となった子宮頸がんワクチンによる長期に続く腕の痛みの原因の一つに挙げられています。それ以外にもちょっとしたことで神経を傷つけて発症することは意外と多いのです。
CRPSの症状は多くの場合、初期には浮腫が起こり、局所は熱を持ち、激しい痛みのために、患者さんはできるだけその場所を動かしません。次に数ヶ月の内に局所は逆に冷たくなり、筋肉や皮膚などの萎縮が起こり、激痛は持続し、重症ではアロディニアといって通常痛みに感じない刺激(下着がこすれる、扇風機の風があたる)でも痛みを感じるようになります。タイプⅠの方がタイプⅡよりも治癒しやすいと言われていますがいずれにしても短期間で治癒することは、受傷直後から適切な治療がなされた場合を除いてほとんどありません。
治療方法は消炎鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、ノイロトロピンなどの薬を症状に応じての内服治療。レーザー光線、温冷交代浴、運動訓練などの理学療法が教科書的には挙げられますが実際はほとんど効果ありません。もっとも効果的な治療はできるだけ発症早期に神経ブロックを繰り返すことにつきます、痛みの場所への直接の神経ブロック、交感神経ブロック(上肢の場合は星状神経節ブロック、下肢の場合は腰部交感神経節ブロック)、硬膜外ブロック(特に急性期に行う)などです。慢性期に入れば神経ブロック治療は効果が落ち、かなりの期間が治療にかかります。また内服薬としてリリカ(プレガバリン)という神経障害性疼痛治療薬は、効果率60%以上で、今までのどの薬より鎮痛効果が期待できます。また、痛みが原因でうつ症状も有する患者さんは、神経因性疼痛にかなり効果を発揮するサインバルタ(線維筋痛症にも効果があります)がむしろリリカより著効する場合があります。あきらめないでください。
一般的に大きな問題として、CRPSの病名はペインクリニック医以外の医師のほとんどが知らず、従って治療法も知らず、CRPSを単なる痛みと考えて通常の鎮痛薬を投与しておけばそのうち治ると思い、一番肝心な受傷直後に適切な治療が行われない場合が多いのです。ペインクリニック医のところに患者さんが送られてきた時はほとんどの場合が、発症後数か月から数年たっていて、治療効果が出にくくなっている状態なのです。頚部や腰部の脊椎手術をして痛みが取れるどころか,益々ひどくなった患者さんが、CRPSの状態になっている方も多いのです。また、近年多い膝の内視鏡手術で起こることも報告されています。
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