痛みに対して運動療法はどうするか?
2010/01/25
よく患者さんからこの様な質問を受けますが、確かに運動療法は、たとえば、膝の痛い方は大腿の筋肉(大腿前面の大腿四頭筋やハムストリングスと呼ばれる大腿後面の筋)をきたえることは大切です。そのような方には、水中歩行療法は水の力で体重が軽くなり、膝への負担が軽減され、一方水の抵抗で大腿の筋肉には負荷がかかり、きたえられ、膝のリハビリには有効で、膝の痛みをとる効果的な治療であることは事実です。また、慢性腰痛にも腰痛体操のような方法で腰まわりの筋肉を増強することは有用です。
しかし、特に急性の痛みの場合、運動して痛みが増すのに我慢してそれを続けると、特に中年以降の方はかえって痛みがひどくなることが多いです(たとえば膝痛に対して歩きすぎること。大腿の筋肉を鍛える以上に炎症を起こしている膝関節に負担をかけてしまいます。)。
痛みと運動に関連したひとつの事実があります。当院の坐骨神経痛の患者さんを治療していて、あることに気づきました。それは、若い人や中年の人より、仕事をしていない高齢者の方が坐骨神経痛の治りが早いのです。不思議に思っていましたが、そのわけは若い人や中年の人は仕事を持っていて、つい無理をしてしまうのに対して、高齢者は仕事をしていないので、無理のない動き(運動)しかしないためだと考えました。
したがって、急性の痛みに対してはまず安静が必要です。それが軽くなりつつある時期や慢性痛の場合は、運動するにしても、痛みを起こさない程度にしておくのが大切だと思います。また、神経痛(頚椎椎間板ヘルニアによる肩や腕の痛み、腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアによる腰や坐骨神経の痛み、帯状疱疹痛などその他にも多い)の場合は寝たきりはだめですが、運動で痛みが軽くなることはまずありません。
また、急性腰痛(ギックリ腰)の場合に腰痛体操を行う方がおられますが、これなど痛みを悪化させ、治りを悪くするだけです。腰痛体操とは慢性の腰痛もちの方が、腰の痛みが比較的少ない時期に腰に負担をあまりかけないで少しずつ持続的にやり、腰まわりの筋肉(背筋や腹斜筋など)の強度や柔軟性を鍛え、次に起こる腰痛の悪化を予防するのが目的の体操ですので、誤解のないようにしていただきたいです。
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