確かに神経根ブロックや椎間板内生理食塩水注入療法などの特別のブロックは相当の痛みを伴いますし、それなりの危険性(神経損傷など）の可能性もあります。
　しかし、外来で通常行われる硬膜外ブロックをはじめとする多くの神経ブロックはみなさんが考えているよりずっと痛くないと思います。ただし、たとえば激しい腰痛を訴えている患者さんなどは痛みに対して極度に過敏になっていることが多く、そのような場合にはブロック注射を行う際に通常の患者さんより注射をより痛がる方が時折みられます。また、特に若い男性は痛みに過敏な方が多く、ブロック注射を女性などに比べるとより痛がる傾向にあるようです。
　当院では硬膜外ブロックは特別製の細い針を使用しており、局所麻酔をしながら慎重に行います。今まで小学生から９０歳代のお年寄りまで計約5万回の硬膜外ブロックを行っていますが、私の記憶では患者さんが「痛いからもうやめてほしい」と途中で中止したことは一度もないはずです。また所要時間も通常１～２分で終わります。 安全性につきましては、その医師の技術、経験、資質によって差がでると思います。これはたとえば手術医により手術の成功率や安全性が異なるのと同じことです。熟練のペインクリニック医が行えば,たとえば抗生物質を点滴してじんましんが出たり、気分が悪くなったりするよりもはるかに神経ブロックの危険性は少ないと思います。安全と考えていただいて結構です。ちなみに私が今までに行った約６万回の硬膜外ブロックはすべて安全に行えています。