大きくする 標準 小さくする

【大分市】 リリカ・神経因性疼痛治療薬 ビリビリ、ジンジンする痛み

痛みの相談と治療

いままでの鎮痛薬(消炎鎮痛薬)とは作用が全く異なる神経痛の治療薬があります。最近武田鉄矢が盛んにテレビコマーシャルを行っていますが、テレビでは薬剤の名前をだせないため「神経因性疼痛の方はお医者さんへ」との内容ですが、その薬がリリカ(プレガバリン)なのです。神経障害によるさまざまな神経痛の治療に効果を発揮します。具体的には帯状疱疹後神経痛(トピックス記述)。糖尿病による末梢神経障害性疼痛。三叉神経痛(トピックス記述)。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(トピックス記述)からくる坐骨神経痛、太腿神経痛。変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群などからくる頸椎症性神経根症(頚、肩、肩甲部、腕の激痛、トピックス記述)。手根管症候群。重症の肋間神経痛。複合性局所疼痛症候群(CRPS、トピックスに記述)、さらに線維筋痛症(トピックス記述)にも効果があります。
 いままでこれらの神経痛には通常の消炎鎮痛薬(ボルタレン、ロキソニン等々)が投与されていましたが、はっきり言ってまず無効で、私はほとんど処方しませんでした。
 これらの痛みは通常激烈で夜も寝られないほどの痛みの患者さんもいます。それらの患者さんにとっては何よりの朗報です。有効率はほぼ60~70%で全員に効くわけではありませんが、いままで、神経ブロック以外有効な治療法があまりなかった神経痛に画期的な内服鎮痛薬がでたことは間違いありません。
 神経痛は神経細胞にカルシウムイオンが作用して痛みの伝達物質が過剰に放出されることにより起こります。リリカの作用機序は神経細胞の接合点においてカルシウムイオンが結合するα2δ(デルタと読みます)リガンドという部位に結合して、カルシウムイオンの結合を抑制して、痛みの伝達物質の放出を低下させ鎮痛効果を発揮します。
 すでに世界中で神経痛の第一選択薬として使用されています。(その売上金額は日本の製薬トップメーカーの全売上に匹敵します)ただし、副作用として、眠気、めまい、ふらつき、浮腫などがかなりの確率で出現します。特に高齢者に強く出現する傾向があります。これらの方は初めの服用量を25mgの少量より開始し、徐々に増量すればほぼ大丈夫です(通常は75mgを1日2回より始めるようなっています)。リリカは腎臓排泄性薬物なので腎機能低下者には少ない量を用いるのが大切です。
 日本では2010年6月よりまず帯状疱疹後神経痛、さらに10月末にもっと広い範囲の末梢性神経障害性の痛み(上記したさまざまな神経痛)の治療薬として適応が認められ、さらに近い将来線維筋痛症にも使えるようになる可能性が大きいです。
 ペインクリニックでもリリカは、神経ブロックが効かない場合、神経ブロックを患者さんが希望しない場合、血液が止まりにくい薬を内服していて神経ブロックができない場合、神経ブロックと併用することでより大きな効果が得られる場合、などに使用し大変役にたっています。
 ただし、リリカはあくまで鎮痛薬であって治療薬ではありません。坐骨神経痛や頸椎症性神経根症のように、神経の炎症と過敏性を治療すれば、短期間で治まる可能性のある痛みには神経ブロックをまず主な治療法として、リリカはその間、痛みが我慢できない場合に補完的に使用するのがよいのではないかと思います。