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【大分市・頭痛外来】大分・頭痛・片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛・後頭神経痛・鑑別診断は容易

痛みの相談と治療

 慢性頭痛のほとんどは、緊張型頭痛と片頭痛(偏頭痛)、それに群発頭痛に分類されます。これらはいずれも脳内出血、くも膜下出血、脳腫瘍などでおこる命の危険性がある頭痛とは関係なく、脳が原因なのではなく、頭蓋骨を覆う筋肉(頭部筋群)とその中を走る神経において主に痛みが生じているもので、機能性頭痛と呼ばれています。
 ①【緊張型頭痛】は最も多くみられるもので、原因として、名前のとうり精神的(疲れ、不眠)肉体的(多いのがストレートネックと呼ばれる頚椎の並びの異常)緊張(ストレス)から起こり、頭蓋骨を覆う筋肉(頭部筋群)が緊張して硬直して血流障害をおこし、それにより同所に痛みのもととなる物質が蓄積されて頭痛をおこし、その頭痛がさらにストレスを高めて、不眠、抑うつ、神経症などを助長して痛みは複雑化します。こうした悪循環が慢性化しやすい原因となります。
 症状は、痛みは鈍痛で、締め付けるようなとか、頭に重石をのせたようなとか、頭の周りにわっかを乗せたような痛みと患者さんは表現します。痛みの部位は後頭部が多いですが、頭の片側や前頭部、さらに全周におよぶことも稀ではありません。典型的な緊張型頭痛の発症パターンは、肩や首のこりと痛みをほとんどんの患者さんが元来有し、それがひどくなると頭の筋肉の方へ痛みがさかのぼり緊張型頭痛を生じることがほとんどです。また、眼の奥の痛みや疲れ眼も起きやすく、こめかみの痛みを感じることもあります。特に疲労がたまる夕方、週末などに悪化することが多く、またしばしばはきけを訴えます。患者さんは脳に異常があるのではと脳外科を受診してCTスキャンをとったり、眼の痛みのため眼科を受診することが結構ありますが、前述したように脳や眼球が痛みの原因ではありません。 
 治療はまず、患者さんは多くの方が長期にわたり市販の頭痛薬を服用し、常に頭痛薬を飲んでいないと頭痛発作が出現する一種の薬物依存の状態にあり、これが治療を難しくしています。ペインクリニックでは、そのような状態を劇的の改善するトリガーポイント注射(トピックスで既述、極細い針で痛い肩や首の筋膜に局所麻酔薬を少量注入します。NHKのためしてガッテンなどで再三紹介されています)を行います。この方法で大部分の患者さんにおいて、緊張型頭痛は短期間でに改善に向かうと思います。また、もしトリガーポイント注射で効果が少ない場合には、星状神経節ブロック(トピックス既述)が著効する場合が結構あります。また、鎮痛内服薬は胃や他の内臓に影響の極めて少ないアセトアミノフェンを私は用います(アメリカでは鎮痛薬の80%はこれです)。
 頭痛外来というものがありますが、これらの施設では内服薬だけで緊張型頭痛を治療する場合がほとんどです。しかし、緊張型頭痛の場合、内服薬だけでは治療に長い期間が必要で、かつ効果も今述べてきたようなトリガーポイント注射を併用する治療に比べればはるかに弱いです。たとえれば、内服薬治療のみでは頭痛は雨から曇り空くらいにはなるが、青空にはならず真の痛みは取れないことが多いと思います。一方、内服薬治療とトリガーポイント注射の併用(トリガーポイント注射単独でも十分な場合が多いです)では頭の中は雨から青空になるようなすっきりした感じを受けることが多いと思います。
 ②【片頭痛】はこの呼び名のように多くが前額部(目の奥やこめかみ)や側頭部の頭の片側が痛みます。原因としては三叉神経血管説が有力です。すなわち、何らかの原因で三叉神経末梢より未知の物質が放出され、これが血管を拡張させ炎症を起こす一方、脳を刺激して吐き気や頭痛を生じさせるとの説です。これらの一連のメカニズムに影響するのが女性ホルモン(片頭痛は女性に多く、生理日に頭痛発作が起きることが多い)、アルコール、ポリフェノール(赤ワイン、チョコレート等に多く含まれる)などの頭の血管を拡張させる物質が引き金になるとされています。片頭痛はいつも痛いのではなく、1~2月に1~数回数日(中には毎日痛みがでる方もいますが)痛みが続く周期があるのが特徴です。またこの頭痛には前兆があり、光、音、においに敏感になり、それが頭痛を増強させます。また緊張型頭痛と異なり、80%の確率で吐き気だけでなく実際おう吐します。また閃輝暗点という、物がまぶしく見え視野の周辺部には黒いギザギザが見える独特のものの見え方もおこすこともあります。痛みは必ずズキンズキンとくる拍動性の頭痛で、耐えがたい激痛です。治療は通常の頭痛薬はまず効かず、エルゴタミンが使用されていた時期もありますが、効果は弱く今はほとんど使用されません。片頭痛の特効薬といってもよいトリプタン製剤(イミグラン、ゾーミッグ、レルパックス、マクサルト等)がよく効きます。もし内服が効かない場合でもイミグランの皮下注射が効く場合も多いです。トリプタン製剤は片頭痛にしか効かず、これが診断の決め手ともなります。また眼の奥の激痛(三叉神経痛です)がよくおこりますが、これにはまゆ毛の部分に眼窩上神経ブロックを行うと痛みはすぐに消失します。トリプタン製剤は片頭痛に唯一効く第一選択薬ですが薬価が高いのが難点ですが近年後発品が種類によっては出てきており、2~3割安くなっています。
 ③それ以外に男性に多く時折みられる【群発頭痛】があります。これは痛み方は片頭痛と同じく拍動性のがまんできない激痛で、数ヶ月から2年に一度くらい発作がおこり2~3週間、時には1月以上も続きます。アルコールで痛みが誘発され、夜間に特に痛みます。診断は100%の酸素を吸入させると、頭骸骨周囲の動脈が収縮して痛みが軽減することでわかります。治療は片頭痛と同じくトリプタン製剤が効きます。また、眼の奥の痛みがある場合には眼窩上神経ブロックが効果が大きいです。この群発頭痛の原因として、発作時にヘルペスウィルスの抗体価が上昇する場合が多いという事実から、最近ヘルペスウィルス感染(帯状疱疹と同じウィルス)が関与しているとの説がでており、群発頭痛にヘルペスウィルス治療薬を使用して頭痛が消失したとの報告もあります。
 ④後頭神経痛 頸椎第3神経は頸椎から後頭部の方に登っています(頭蓋骨の外の筋肉の中です)。ちょうど耳の後ろの骨の出っ張った所(乳様突起)の下あたりから出ますのでそこを押すと痛みを感じたら後頭神経痛の可能性が高いです。後頭神経痛はまずほとんどは左右どちらかの片側の痛みで電気が走るようなビリッとした痛みが断続的に続き、痛みはかなり強烈で、また首の姿勢で痛みは変化します。患者さんはびっくりして脳外科などを受診してCTなどとることが多いですがほとんどの場合が原因がわからずに当院に受診することが多いです。治療は後頭神経ブロック、効果が弱ければ硬膜外ブロックが著効します。内服薬はリリカ(プレガバリン)が効果があります。ほとんどは1~3回程度の治療で治癒します。
 いずれにしろ極一部の重症例を除き、頭痛の治療はまず何のタイプの頭痛かを特定できさえすれば(簡単なことだと思います)、述べてきたような治療法で大幅に改善すると思います。