神経ブロック注射で骨がぼろぼろになることは絶対にありません。なぜそのようなことが言われるようになったのかですが、今は行われていませんが、以前、主に整形外科で変形性膝関節症などの膝関節疾患の患者さんの炎症をとるためにステロイドホルモンを膝関節に何回も注入していた時期があったのです。もちろんごく一部の医師が行っていたのですが、それによりステロイドによる膝関節の骨破壊が生じ、むしろ膝の状態が悪化する患者さんがでた時期がありました。そのことと神経ブロック注射を混同されておられる方がそのようなことを言われるのです。もちろん神経ブロックでもステロイドホルモンを使用しますが、その使い方はそれぞれのペインクリニック医によって異なります。しかし必要最小限にとどめて、副作用のでないようにしている医師がほとんどだと思います。
　ちなみに私はステロイドホルモンは使用するとしても、患者さんには原則１回しか使用しません。１回では骨の破壊は絶対に起こりません。ただし糖尿病やその境界型の方は１回の使用でも２週間くらいは血糖値が上昇しますので、それらの患者さんにはたとえ患者さんからよく効く様にステロイドホルモンの使用を依頼されても絶対に使用しません。ステロイドホルモンは確かに炎症を抑えるのに効果がありますが、ステロイドホルモンを使用しなくとも痛みをとることは十分可能です。どうかご安心下さい。
　神経ブロックは局所麻酔薬が主な薬剤ですが、これはたとえば消炎鎮痛剤で最も多く内服使用されているロキソニンと比べても人体に及ぼす副作用ははるかに少ないとお考えください。