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【大分市・膝の痛み】大分・変形性膝関節症 膝が痛い 治療

痛みの相談と治療

膝の痛み(ほとんどが変形性膝関節症による)の患者さん(特に高齢者)は増加の一途をたどっています。歩きすぎる、たたみに座る、しゃがみ込みこむ、階段の上り下りなど、膝関節を90度近くに曲げることで痛みが出て、行動はどんどん制限されていきます。変形性膝関節症は膝関節の軟骨が減少し、さらに関節を形成する骨が変形して、膝をまげる動作で大腿の骨と下腿の骨がこすれ合い炎症をおこして痛みがでるのです。さらに、ひどくなると膝関節部が腫れ、特に手でさわってみると膝の内側に熱を持ち、膝関節液が貯留するようになります。
そうなると、膝を少し曲げることも難儀するようになります。女性が男性より4倍も多く、また肥満した方に多いのが特徴です。とくに日本女性の場合、進行とともにO脚に段々変形してゆきます。O脚になると膝関節の内側に負荷がかかり内側の軟骨がすり減るので痛みはほとんどが膝の内側に感じます。膝の裏側の痛みを訴える方がおられますが、その場合膝の痛みより坐骨神経痛の場合の方が多いようです。
 治療としては、保存的には、肥満があればまず痩せて膝への負担を軽くしてやる。前述したように膝を曲げる姿勢すなわち畳に座る姿勢は良くなく、椅子に座る生活を心掛ける。さらに階段の上り下りや歩きすぎも厳禁です。
 太腿の筋肉(大腿前面筋、ハムストリングスという大腿後面筋)を鍛えることも重要です。水中ウオーキングは水の浮力で膝に体重がかかるのを抑え、水の抵抗で大腿への抵抗が増して筋力を鍛えるので有効なリハビリテーションだと思われます。O脚がひどい方では膝保護装具、サポーターを装着することも有効です。内服薬としては消炎鎮痛薬(胃腸障害が問題ですが、近年服用しても胃腸障害が少ないセレコックスという痛み止めが発売され、持続的長期的に服用可能となっています)。それでも効果がない場合はヒアルロン酸の膝関節内への注射が主な治療法です(ヒアルロン酸は内服してもすぐに分解されてただのアミノ酸となりますので、膝関節への効果は期待できません)。当院ではヒアルロン酸を関節内に注射する時に、膝の内側が特に痛い患者さんには同部位にトリガーポイント注射という簡単な注射を併用します。整形外科ではあまり行っていないようですが、ほとんどの患者さんがヒアルロン酸関節注射だけより痛みがより軽くなると好評です。膝の炎症が強くない場合はヒアルロン酸なしでこのトリガーポイント注射だけでも痛みがとれてゆく患者さんもおられます。
 また、膝関節の炎症が強い時は関節内に水(関節液)が貯留することがありますが、その場合関節液を抜くことが絶対に必要です。よく関節液を抜くとくせになるとお考えの方がおられますが、それは逆で関節液が貯留するから抜くだけで、抜かなければ炎症もおさまりません。何回か抜くことがあるのは、それだけ炎症が続いているからなのです。
 しかし膝関節の変形と軟骨の摩耗がひどくなった状態(膝のレントゲン像を正常の0から最も変形が強い4までに分類したK-L分類というものがありますが、その3や4)ではヒアルロン酸の効果がない場合が多くなります。そのような場合は薬物治療とリハビリが治療の中心になります。
 薬物治療ですが、最近は消炎鎮痛薬に加えアセトアミノフェン、弱オピオイドのトラマドール、サインバルタ、などかなり効果が期待できる薬剤の選択枝が増えました。私は特に痛みの強い方にはこれらを2剤併用で使用することが多く思いのほかの効果が得られる場合もかなりあります。歩けることは健康を保つうえで非常に重要なことです。あきらめず色々な治療を試してみてください。今より膝の痛みが軽くなりずっと楽な毎日が送れるようになるはずです。