神経障害性疼痛治療薬、リリカ(プレガバリン)神経痛第一選択薬
2010/04/06
ロキソニンやボルタレン、あるいはイブ、ナロンエースなど通常の鎮痛薬(消炎鎮痛薬)とは作用が全く異なる神経痛専用治療薬でリリカ(プレガバリン)といいます。中枢性および末梢性神経障害により生じた神経痛の治療に効果を発揮します。具体的には帯状疱疹後神経痛(トピックス記述)。糖尿病による末梢神経障害性神経痛。三叉神経痛(トピックス記述)。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(トピックス記述)からくる坐骨神経痛、太腿神経痛。変形性頸椎症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群などからくる頸椎症性神経根症(頚、肩、肩甲部、腕の激痛、トピックス記述)。重症の肋間神経痛。複合性局所疼痛症候群(CRPS、トピックスに記述)などの痛みです。
いままでこれらの神経痛には一般的には通常の消炎鎮痛薬(ボルタレン、ロキソニン等々)が投与されていましたが、弱い痛みならいざしらず、強い痛みにはほとんど無効でした。
これらの痛みは激烈な場合も多く、夜も寝られないほど痛みに苦しんでおられる患者さんは相当いらっしゃいます。それらの患者さんにとっては何よりの朗報です。ただし有効率はほぼ60~70%ですべての神経痛に効くわけではありませんが、いままで、神経ブロック以外有効な治療薬もなかった神経痛に画期的な内服の鎮痛薬がでたことは間違いありません。
神経痛は神経細胞にカルシウムイオンが作用して痛みの伝達物質が過剰に放出されることにより起こります。リリカの作用機序は神経細胞のカルシウムイオン結合部位のα2δ(デルタと読みます)サブユニットという部位に結合して、カルシウムイオンの結合を抑制して、痛みの伝達物質の放出を低下させ鎮痛効果を発揮します。
すでに世界中で神経痛の第一に選択する鎮痛薬として使用されています。ただし、副作用として、眠気、めまい、ふらつき、浮腫などが10~20%の確率で出現します。特に高齢の女性に時折つよいふらつき感が1~2日も持続することがあるので注意が必要ですが、この薬の作用に精通した医師は患者さん個々人により初期投与量を調節しますので、それらの医師に処方してもらう方が安全です(リリカは腎臓排泄性なので腎機能低下者には作用が強くでます)。しかしそれらの副作用は服用していくうちに段々と弱くなっていくことが多いです。
我々、ペインクリニック医にとっても、神経ブロックが効かない、あるいは神経ブロックを患者さんが希望しない、血液が止まりにくい薬を内服していて神経ブロックができない、あるいは神経ブロックを行いながら併用することで効果が倍増する、などの場合に使用して治療効果を上げています。
ただし、私の印象ですが、リリカはいきなり使用するよりも、神経ブロックなどでまず神経の炎症(侵害性疼痛)を除いてから使用するほうが効果が明らかに強い印象を受けます。
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