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【大分市・腰の手術後の痛み】大分 腰椎手術後 腰痛、下肢痛 足の痛み 治療

痛みの相談と治療

 腰椎の手術をしたが再度腰痛や下肢神経痛が出現した場合、腰椎手術後疼痛症候群(FBSS)といいます。原因は次のような可能性が考えられます。まず、1.手術により時間経過とともに段々癒着が起こり神経や関節などに負担がかかり、腰痛を起こす場合(特に腰椎すべり症などで金属のボルト固定を行っている方で多いです)、2.手術が不完全で、痛みの元の神経を圧迫するもの(ヘルニアや骨のとげや肥厚した靭帯など)を完全に除去できていない場合、3.手術はうまくいったが、しばらくして再度椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄が発症した場合、さらに④複数回の腰椎手術を受けた方に時折みられる手術により腰部の神経に傷がついたりまた神経に圧迫がかかったりしておこる複合性局所疼痛症候群(CRPS、トピックスに既述)を発症している場合などが考えられます。
 腰椎や頚椎の手術は、たとえば胆石症で胆のうを摘出する手術とは大きな違いがあります。胆のうを摘出すればその人は胆のうがないので一生胆石で苦しむことはありません。すなわち手術はよほどのことがない限り、ほぼ100%成功します。しかし、腰椎や頚椎の脊椎手術では往々にして上記した様な痛みが、手術してもとれない場合や再発する場合があります。これはどんな整形外科の名医でも0%にはできません。当院にはその様な痛みの患者さんがよく来られますが、概してみなさん歩くのにも難儀するほど痛みが強い方が多いです。だからといって手術が失敗したわけではなく、ちゃんと手術が行われていても起こりうるのです。
 従って、脊椎手術は緊急なものを除いて、癌手術のように一刻も早く行う必要はないのですから、医師から手術を勧められても、まず慎重に考慮した方が良いと私は思います。場合によっては別の病院の脊椎外科の医師の意見を聞くことも重要です(セカンドオピニオンといいます)。やたら手術を早期にしたがる先生が一部いらっしゃるのは事実のようですから。もちろん大部分の先生は慎重に手術の適応を見極めて手術をおこなっています。
 当院の腰椎手術後疼痛症候群の治療法は原則として硬膜外ブロックで行ないます。手術によって硬膜が癒着や破損されている可能性があるので、手術創の部分からは硬膜外ブロックは通常できません。そこで患者さんの痛みが腰痛ならば手術創より上(頭側)の部分から腰部硬膜外ブロック、時として下肢の痛みが強い場合(坐骨神経痛、大腿神経痛)ならば、おしりの上から仙骨部硬膜外ブロックを行います。この治療法で結構効果はあがっています。
 大学病院などでは仙骨部より硬膜外内視鏡を挿入して、癒着はく離術という一種の手術がよく行われています。有効な場合もありますが、当初期待されていたほどの治療成績はあがっていないようで、ブームは過ぎた感じです。